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2025年9月26日

【資源よもやま話】「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」の違いとは?

熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂

知っていますか?樹脂の大分類

プラスチック製品は、私たちの生活のあらゆる場面に登場します。食品の容器やトレー、おもちゃ、自動車部品、家電製品、医療機器に至るまで、用途は実に多岐にわたります。これらの製品に使われている「樹脂」は、実は大きく2つの種類に分類されることをご存じでしょうか?

それが「熱可塑性樹脂」「熱硬化性樹脂」です。

プラスチックは、大きく熱可塑性プラスチックと熱硬化性プラスチックに大別されます。さらに原料の種類などにより、異なる性質を持っています。

「資源循環よもやま話」では、樹脂の分類や特徴を、生活に密着した視点で説明しつつ、リサイクルの視点からも掘り下げていきます。今回は、最も大きい分類である「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」についてご紹介します。

例えるならば、チョコとクッキー

突然ですが、EBC広報担当である私が「『熱可塑性樹脂』と『熱硬化性樹脂』の話題でブログを書いてみよう!」と思ったきっかけがあります。それは、会社の先輩から商品知識について教わっていた時のことです。

プラスチックの特性や用途を学ぶ際、この「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」という言葉は、大分類として必ず覚えるものです。その中で、先輩が突然「例えば、チョコレートとクッキーの違いをイメージしてみて」と一言。この例えを初めて聞いた私は「チョコ? クッキー?なんでプラスチックの話なのに?」と目を白黒させてしまいました。ただ、その特性を学んでいくと、「確かにそうだ!」とハラオチしました。

 ぜひ皆さんも、この先の話を読んでいただくと、この例えが絶妙だと感じていただけるかと思います!

チョコとクッキー

「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」辞書の意味は?

まず、「熱可塑性」という言葉の中にある「可塑性」について、辞書で意味を調べてみました。

可塑性(かそせい)とは、「固体に外力を加えて変形させ、力を取り去っても元に戻らない性質」——つまり、変形がそのまま残る性質のことです。

この性質は、プラスチックの加工性や成形性を語るうえで非常に重要な概念です。ちなみに「プラスチック」という言葉自体も、英語の plasticity(可塑性)に由来しています。

一方で、「熱硬化性樹脂」に含まれる「硬化性」についても調べてみました。

硬化性(こうかせい)とは、「物質が固くなる性質」や「熱や化学反応によって構造が変化し、硬くなる性質」を指します。

 

このように、可塑性=柔らかく変形できる性質、硬化性=硬くなって形が固定される性質という違いが、樹脂の分類に直結しているのです。

参考:コトバンク

https://kotobank.jp/word/%E5%8F%AF%E5%A1%91%E6%80%A7-44854

https://kotobank.jp/word/%E7%A1%AC%E5%8C%96-494204#w-1956988

熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、それぞれの特徴

この前提を踏まえて、ここからはそれぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

熱可塑性樹脂

熱可塑性樹脂とは、加熱すると柔らかくなり、冷却すると再び硬化するという性質を持つプラスチックの一種です。繰り返し加熱・成形・再加工が可能なため、加工性とリサイクル性に優れた素材として広く利用されています。

この特徴により、射出成形や押出成形などの大量生産に適しており、包装材から自動車部品、医療機器まで幅広い分野で活用されています。

※この成形のいろいろについては、以下のコラムをチェック!
射出成型について 真空成型について

熱硬化性樹脂

熱硬化性樹脂は、加熱によって化学反応を起こし、三次元網状構造を形成して硬化するプラスチックです。一度硬化すると、再加熱しても軟化せず、再成形ができません。

この性質により、高温・高圧・薬品にさらされるといった過酷な環境下でも、安定した性能を発揮します。

この性質は、熱硬化性樹脂の最大の特徴である「一度硬化すると再加熱しても形状が変わらない」という性質に直結しています。まるでクッキーのように、一度焼き固めるともう元には戻らない——そんなイメージです。

参考:日本プラスチック工業会「こんにちはプラスチック」

https://www.jpif.gr.jp/learn/pamphlet/doc/pamphlet_hello-plastic.pdf

熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂のリサイクル:容易さと困難さ

プラスチックの資源循環を考えるうえで、素材の「熱可塑性」か「熱硬化性」かという性質は、リサイクルの可否や方法に直結する重要な要素です。

熱可塑性樹脂:リサイクルが比較的容易

熱可塑性樹脂は、加熱によって柔らかくなり、再成形が可能な可逆性素材です。この性質により、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルが行われています。

例えば、「使用済みの化粧品などのプラスチップボトルの詰め替え容器を原料に再び詰め替え容器を製造する」「ペットボトルをフレークにして衣類やバッグにする」といったよく聞くリサイクルは、すべて熱可塑性樹脂を使ったものです。

ただし、以下のような注意点があります。

・異素材が混入すると品質が低下する

・添加剤や着色料の影響で、再利用用途が限定される

・分別・洗浄の手間やコストがかかる

熱可塑性樹脂はリサイクルが可能ではありますが、分別精度や異物混入がリサイクル効率に大きな影響を与えているのです。

熱硬化性樹脂:構造的にリサイクルが困難

熱硬化性樹脂は、加熱によって化学反応を起こし、三次元網状構造を形成する不可逆性素材です。この構造により、再加熱・再成形が不可能であり、従来のリサイクル技術では対応が難しいとされています。焼却処分によるエネルギー回収は可能ですが、埋立処分されるため、環境負荷が懸念されます。

省庁横断で策定された「プラスチック資源循環戦略(2019年)」でも、リサイクル困難製品の易リサイクル化や革新的リサイクル技術の開発に取り組む方向性が示されています。

参考:プラスチック資源循環戦略 

https://www.env.go.jp/press/files/jp/111747.pdf

お問い合わせはお気軽に

ここまで、「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」というプラスチックの大分類について、そのリサイクルの容易さや困難さを見てきました。

冒頭で触れた「チョコレートとクッキー」の例え——加熱すればまた柔らかくなるチョコレート(熱可塑性)と、一度焼いたらもう形が変わらないクッキー(熱硬化性)——このイメージが、少しでも皆さんの理解の助けになっていれば嬉しいです。

 

「資源循環よもやま話」では、これからもさまざまな素材や業界のことを、わかりやすく、そして少し身近に感じられるような形で、お届けしていきます。

ちなみに当社が取り扱っている樹脂は「熱可塑性樹脂」に含まれています!

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